スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【未開の惑星】


夜空は雲一つないほどに澄み渡り、星が光り輝いていた。
その光を一心不乱に探す男一人。
この男は惑星を売買する事を生業としている。
男は惑星のデーターベースとリンクした望遠鏡で未発見惑星を
探していた。惑星にカーソルを合わせるとその土地の情報が
分かるようになっている。
この作業は、幾星霜にも広がる星星を探していく
緻密な作業であり、几帳面で粘り強いこの男に向いていた。
そしてしばらくして未発見惑星という文字が望遠鏡に現れる。
「よし! いい惑星を見つけたぞ。自然もあり動物もあり
大気汚染率も低い、中々のものだ」
男は直様、宇宙タクシーを呼んだ。
「座標はSE47CFだ。よろしく」
「お客さん、不動産屋さんか。気をつけてな。伊達に宇宙タクシー乗り
を一二年もやっちゃいないが」
男はまた忠告かと聞き飽きている顔をして
話題を変える事にした。
「問題ない。防獣レーザーがついている最新型も持っているし、
対ウィルス用服も着衣してる。これで何を恐れる」
「へえ、確かに凄いですけどお客さん。私は
お客さんのような人をのっけて地球に戻ってこれた事は
十人に五人位なんですよ、ですから一応ですよ」
「残りの五人はどうしたんだ?」
「お客さんのような方、専門のハンターさん、
害虫駆除業者などもいるんですよ」
「ほう、帰ってこれなくなったのか?」
「詳しい事は知りませんがね、約束の時間になっても
帰らない方が多いんでね」
「それは待ってる側としては商売あがったりだな」
「ですから、待機代金貰い始めたんですよ」
「それはいい商売だな」
「まあ宇宙運転免許ってのはいいもんですね
自分で宇宙を運転したがらない方が多い。
やっぱ仕事してこの大宇宙を運転して帰るなんざ
ストレスが溜まるんだろうね」
タクシーはワープを何度か繰り返し、目的の惑星から
大気圏突入し、惑星に着陸した。
「さぁ、着きましたよ。くれぐれもお気をつけて」
「もうついたのか、早いな」
「高速銀河航路がありますからね、ワープ加速込ならこんなものですよ」
「ふむ……」
男は、心が晴れぬまま運転手に待機代金を支払い、車外に出る。
外は草原とそこをそよぐ風が男を待っていた。
「素晴らしい景色だ、自然も有り、動物もいる
地球のような科学社会とは全く真逆じゃないか、
だが何だろう、自然なんだ……とても自然なんだが」
男は惑星を査定する為にくまなく歩き続ける。
「シマウマ、ライオン、カンガルーなんでも揃ってるな。
まるで動物園のようだ」
地球には、すでに絶滅しているような動物がいて
まさしくここは自然のオアシスと言える。
だが不自然な事は、男が近寄ろうとすると、
どんな動物もどこかへ行ってしまう。
ハイエナはエサを取りにどこかへ行き、ワニは水中に潜り始め
ライオンだけはただ関心もなくずっと目をつぶっていた。
「ははぁ、ここの動物は人間を見慣れてないから
シャイなんだな」
その後も男は仕事を忘れ、動物たちをくまなく観察していた。
そして夕焼けが黄色くなってきたので男はタクシーに戻ってきた。
「……どうでしたか、お客さん」
「ええ、とても素晴らしい惑星でした」
「そうですか、それはよかったですね。
それでこの惑星を売りに出すんですか?」
「いえ、彼らを見てたらそっとして置いたほうがいいかなって」
「そうでしたか、彼らも喜んでいると思いますよ」
男はタクシーの運転手の歯が血で紅く染まっている事に気づいた。
スポンサーサイト

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © SFキャンディ All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。