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びちびち

天国、それは学校で先生の目が一切届かない場所であり、
真っ白いベッドとアルコールの匂いが漂うここを
表わしていた。
私は、数学の倉橋の授業を受けたくなくて仮病を使った。
どうせ、私は授業を受けても受けなくても成績は同じ、
テストも満点の顔パスなのだ。
じゃあじっくり寝るかなってベッドに横になり始めた時に
隣のベッドに誰かも寝始めた。
びちびち……という不穏な音を立てるシルエットの人。
……え? びちって音しなかった?
私はカーテンの向こうの誰かに耳を傾けた。
びちっびちびち。
間違いない、可笑しな音がする。
不安になり、シルエットの影に声をかけてみる。
「……あの。大丈夫ですか?」
恐る……恐る………声をかけてみる。
「あら、私? 大丈夫よ」
意外に軽快な声で帰ってきた。
声質も普通の女の子の声だ。
私はそれで肩の力ががくっと抜けた。
はぁ~だよねぇ。
「コケを飲みすぎたわ」
シルエットの向こうから笑い声が聞こえる。
……コケって言った?
「え!? コ、コケ?」
「そうなのよ、あまりにも新鮮なものだから
飲みすぎてしまって」
ど、どうしよう。これはツッコむべきなのか。
それはお茶なんじゃないですかって。
「あの……それってお茶の事じゃ」
「な、なんですって!」
いきなりカーテンが空き、金魚顔と目が合う。
や、やっぱり人間じゃ、ない……。
そ、逸らすな……自然に接するんだ、私。
「お茶……なんじゃないかなぁって」
「あ、そうだったのよ。お茶お茶、ほっほっほ」
……ほっほっほなんて最近の女の子言うかな。
っというかどう見ても金魚……だよね。
制服こそ学校のものだけど、顔はまんま金魚。
金魚顔ではなく金魚そのもの。
ヒレがめっちゃ動いてる。
金魚って水の中じゃないと生きられないんじゃ。
「いやー慣れないもの飲むんじゃないわね」
「ふ、普段は何飲むの?」
「それ聞いちゃう?」
私は恐る恐る首を縦に振る。
彼女の真っ黒い目が私を凝視する。
「わかるでしょ?」
「わ、わからないよ」
「いや本当は知ってるんでしょ?」
「し、知らないよ」
私は首を横に振る。
「ふーん」と言ったまま彼女は何かを考えているようだ。
というか口がパクパク動いてて正直キモい。
もう何をつっこんでいいのかもわからない。
「あ、そろそろ迎えが来たみたいね」
「え、迎え?」
窓から真っ白い光が差し込んだかと思うと
その金魚の女の子は消えてしまった。
それと同時に廊下からこちらに誰かが駆けてきて
扉を開けると、私の目の前のカーテンが勢いよく開いた。
親友の美紀だった。
「大変よ、溝口のやつが金魚鉢めがけてお茶こぼしたのよ」
「そ、それで?」
「そしたら、緑で凄い濁っちゃって、中が見えなくなったんだけど
中見たら何もいないのよ。金魚が確かにいたはずなのに……」
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